SDGsは「本当に自分に必要か」を問うことから始まる vol.05

SDGsは「過去の自分への懺悔」からスタートすると思うし、それなしでは成し遂げられないと思っている。「本当に自分に必要か」の判断軸を養っていきたい。
Ryoma Hoshino 2021.06.17
誰でも

SDGsというワードを見かけない日はないくらい、いろいろな問題提起や取り組みが見られるようになりました。

SDGs(持続可能な開発目標)とは、“2030年までに達成すべき17の目標”。

SDGsの「17目標」は以下のように表現されています。

今回はこのうち、「13. 気候変動に具体的な対策を」に焦点を当ててお届けできたらなあと思っています。

いろいろ調べてみると、気候変動とファッションは密接に関係していることが分かり、この問題は他人事ではなく、個人レベルでもできることが多くあると知りました。

# 興味を持つようになったきっかけ

ネイリストさんに教えてもらった動画がきっかけです。ネイルのことは↓へ。

その日はたしか古着の話から始まり、服の話をするうちに「ジーンズ1本作るのにどれくらいの水を使うか知ってる?」という話になりました。

全然知らない私にこの動画を紹介してくれたのです。

動画の概要は以下です。

私たちの身近に存在するファッション。それがどう気候危機に影響しているのか? 日本の、世界の現場で何が起こっているの?洋服を選ぶときの基準は?どんな新しいテクノロジーが生まれているの?など多くの疑問をファッションにも造詣が深く自身のスタイルに多くのファンを持つコムアイさんがナビゲート。LIVE中にオーディエンスから投げかけられる質問と共にこれからのファッションの在り方・付き合い方を探る。

2時間くらいあるのでラジオ感覚で聴こうと仕事中に流していたのですが、あまりに衝撃的で仕事を切り上げてしまったほどでした。

この動画を通してびっくりしたことは大きく3つ。

10%:世界の温室効果ガスに占める、ファッション業界からの排出量(> 飛行機・船からの排出量)
+30%: 2030年までにファッション業界においてさらに増える排出量
20億本:世界で毎年生産されるジーンズの数
7000ℓ:ジーンズ1本の生産に使われる水の量
29億着:衣類の年間供給量
15億着:消費者の手に回らずに廃棄される量

ファッション業界における残酷な現実をまじまじと見せつけられ、これから起きるもっと大変なことを知り、かなりショッキングでした。

それからバングラデシュの縫製工場「ラナプラザ」の崩壊事故の話もしてくれました。恥ずかしながら私はそのことを全く知らず、これまたかなりショッキング。

2013年4月24日、1,000人以上が死亡する事故が起こった。バングラデシュの首都ダッカ近郊の縫製工場が入った商業ビル「ラナ・プラザ」が崩落。死者1,134人、負傷者2,500人以上を出す最悪の惨事となった。

この事故によって、主ファッションブランドのサプライチェーンがあまりに不透明であることが浮き彫りになり、少なからずのファッションブランドが劣悪な労働環境と低賃金の上に成り立っていることが明らかになりました。

ファッション業界とそれを使う私たちが直面している課題、自分たちが知らないところでとても悲しい現実が存在することを知りました。

普段着ている衣服が、劣悪な環境と過酷な労働条件によって生産されている可能性があると思うと胸が痛いです。

# 世の中の購買軸に疑問を持たざるを得ない

なぜこのような状況になってしまったのかを考えると、「世の中の購買軸」に疑問を持たざるを得ないです。大きくこの2つ。

◯使い捨て的購買

「安いし、合わなかったらまた買えばいいか!」「おすすめされたし買ってみよう!」という感情のもとに行われる購買を疑問に感じています。それ自体が悪いというわけでは決してなく、判断軸がないことが問題だいうこと。

◯外的要因による購買 - 誰もがモノを作れる時代 -

インフルエンサーによるブランド商品やコラボ商品が増えています。

否定するつもりは全くなく、

自分の思いを体現するためにモノを作る
自分の好きな人がモノを作ったので欲しい!

この関係ってめちゃくちゃヘルシーで、win-winな関係だと思っています。

しかしながら、この先衣類の生産が大幅に増えても、1人が年間着用する衣類の数は増えることはないと考えています。

そう考えると「なぜ購入するんだっけ?」と立ち止まるべき時が必ず来ます。

モノが大量にあふれ、あらゆるモノがおすすめされて、いつでも購入できる現代です。
自分の判断軸が、「おすすめされたから」「あの人が着てたから」「別の服を着ないと友人に疑問に思われる」などの外的要因の割合が大きくなっていないか分析する必要があります。

主体的な判断軸は

・その企業・ブランドがどういう取り組みをしているのかを知る
・いままでの自分はどうしていたかを振り返る

ことで養うことができると思っています。

# 企業のSDGsへの取り組みをよく見るようになった

企業の取り組み事例を調べると、ものすごくたくさんの事例が出てきます。

漏れなく素晴らしいことだし、応援していきたいし、自分にできることを考えるきっかけにもなりました。

ただそこにちょっとした違和感を感じています。

「本当は過去こうでした、でもこれからは生まれ変わります」というような、過去の振り返りをしている企業を見かけなかったこと(もしあれば教えてください!)。

もう一つは「どんなに企業が努力を続けたとしても消費者・ユーザーが変わらないことには理想論で終わってしまいかねない」ということ。

購買の判断軸に「SDGs活動を積極的にしていて共感できる企業・ブランド」という軸を持つことは素晴らしいことだし、それが当たり前になっていくんだろうけど、もう1つ大切なものがあると感じています。

# SDGs初めの一歩は「今までの購買活動への懺悔」である

思わず目を背けたくなってしまうことだけど、ここからスタートすると思っています。

過去の購買を振り返り、自分のタンスとクローゼットを今一度確認すること

最近めちゃくちゃ後悔したことが2つありまして。

①引っ越しする時に大した分別をせずに捨ててしまった
②衣類を大量に捨ててしまった

①はもう言わずもがなでずっと心残り。以降はルールを守ってかつ、できるだけゴミが出ないように心がけています。

②衣類を大量に捨ててしまったは、捨てたことそれ自体より、着ない服をよくもまあこんなにもたくさん溜め込んだなという思いが強かったです。

振り返ると「そもそも安かったから買ったもの」、「昔から持ってたので捨てきれなかったものでした」。愛着はほぼなし。2年前までは衣類に大した興味がなく、「それなりに自分に合いそうで安くて着れればOK」「悪くなったら買い替えよう」なテンションでネットで購入するのが主でした。

そんな私の価値観もちょっとしたきっかけでだんだん変化していきました。

***

ちょっといいTシャツを買ったら首元がよれにくいことに気づき、
コスメに興味が湧いたらファッションにも興味が沸くようになり、
普段身につけるものにはきちんと投資しようという気持ちになり、
愛着がわく・手に取るたびに幸せな気持ちになれるように選ぼうという気持ちになり...

***

みたいに。その価値観の変化がモノの持ち方の変化をもたらし、俗にいう「ミニマリスト」ではないけど、本当に必要なモノの線引きをし、そこにはきちんと投資をしようという気持ちになりました。

#「本当に自分に必要か?」

「買うお金があるなら何買ってもいいじゃん!」という時代は終わりました。
いち人間として持続可能な開発目標を実現するために、意志を持って取り組む必要があります。

大切なことは「モノを買わない・持たない」という特別なものではなく、「モノを選ぶのに自分なりの判断軸を持ち、自分に必要かどうか問いかける」ということです。

消費者として何かを選択し購入することに絶対的な正はありませんし、企業・ブランドが何かを作るのには必ずリスクがつきまといます。

いち消費者として「本当に自分に必要か?」を問い続け、ベターな選択をし続ける必要があります。そしてその選択をするために、判断軸を養う必要があります。

私が大切にしている判断軸は大きく3つ。

1. 身につけるときに幸せな気持ちになれるか

「買うことが目的ではない」ということです。(当たり前ですかね...!)

- 見つけ、いいな!と思う
- お店に行く、試着してみる
- 店員さんと話す、購入する
- 帰り道、この服と合わせよう!と思いを巡らせる
- 着るたびに買った時のことを思い出す

こんなにも思いが詰まっていれば着るたびに幸せになれるし、すぐ捨てようなんて思わなくなります。自分に合っているか・好みかもここに含まれます。

2. ブランドコンセプト

ラナ・プラザ崩壊事故で明らかになった劣悪な生産環境や過酷な労働条件など、自分たちの目の届かないところで良くないことが起きている可能性があります。

盲目的によくないことに加担してしまうのが十分にあり得るので、できる限りコンセプトや理念等をちゃんと見るようになりました。

3. 価格

これはかなりシビアな話ですが、「安かろう悪かろう」という気持ちが根底にあります。

安いものを何度も買うよりも、高くても良いものを大切にしようという思いがあるので、投資すべきところに投資することを心がけています。

収入がこれから増えた時、モノが単純に増えるのは避けたくて、それ相応の「選択と集中」ができるように判断軸を養っていきたいです。

# さいごに

わたしがよく口にしている「身につけるときに幸せな気持ちになれるか」は「Well Being」と表現されるようです(今知った)。

ファッションもこれを軸に考えるとベターな選択をし続けられそうだなあと思っています。ファッションだけではなく、メディアや思想も同じことが言えるかもしれません。

この状態になるために「自分に本当に必要か」を問うことは本当に大切で、必須な要素だと思っています。

***

この動画、ファッションが好きな人には必ず響くと思います。よかったら見て欲しいです。

***

とにかく大切なことは「本当に自分に必要か」問うこと時に我慢を強いられたり、時間がかかったりしてしまうけど、それは大切なことだし、購買体験がより有意義なものになること間違いなしです。

この考えが少しでも伝われば幸いです。

よかったらみなさんが大切にしていること、教えてください!

このニュースレターでは「なりたい自分を見つけ、近づくための機会を創出する」をテーマに、27歳エンジニアが毎週木曜日に美容やコスメの話をお届けします。

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次回は?

「コスメはUXで選びたい。だからデパコスを選ぶ」をテーマにお届けできたらと思います。今回の思想がそこそこに含まれているので、SDGsコスメ編的な感じでできたらなあと思っています。

また来週お会いしましょう。

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